東芝の関わり・サンパワーの成り立ち
東芝の総合評価
変換効率の非常に高いアメリカ・サンパワー製の単結晶パネルを、日本国内で独占販売(OEM販売)している東芝。製造元のサンパワー社は、世界的シェアが高く実績もある太陽電池メーカーなので、品質も期待できます。
サンパワーについて
サンパワーは、1985年アメリカ・シリコンバレー設立の太陽電池モジュールメーカーです。世界的にはシャープや京セラよりもよく知られたメーカーで、パネルの変換効率において常に記録を塗り替え続けている業界のトップランナーです。
①何よりの魅力はMaxeonテクノロジーを使用したソーラーパネル
☆バックコンタクト技術
市販される結晶型のモジュールにおいて、セル効率22.4%、モジュール変換効率20%以上という記録に貢献した技術は実はとてもシンプルで「セルに、より多くの光が当たるから、より多く発電できる」というもの。これがサンパワー社の製品開発を支える特許技術Maxeonテクノロジー(バックコンタクト方式)です。本来、表面のシリコン上部に電極は配置されますが、これを裏面に持ってきて受光面積を増やすという単純なアイデアをいち早く製品化したのがサンパワーでした。
現在バックコンタクト技術自体の特許は切れており、シャープのブラックソーラー等にもこの技術が使われています。ただ製品化に関する周辺技術の特許により、しばらくは製品の独自性は守られそうです。
☆耐久性にも貢献
バックコンタクトのメリットは効率だけではなく、製品の耐久性も向上しているとか。熱膨張率が異なるシリコンに接触しない裏面配置は、電極の腐食や切断も防ぐことができ、電極の金属面積を増やして抵抗を少なくできます。これが耐久性や製品の信頼性向上につながっています。
☆コスト競争力の高いパネル
サンパワーでは調達したシリコンからセルを作り、モジュールを組み立てて販売する垂直統合型のパネル製造・販売を行っています。セル工場はフィリピン(マニラ)・マレーシア、モジュールは北アメリカ・ヨーロッパ・アジア・アフリカの4拠点あり、地産地消を促すために販売地に近い生産拠点から供給されます。
日本には、フィリピン工場で作られたパネルを提供しています。
…海外製造やその構造面も効率に対するコストの低さに貢献しているようです。特に日本の住宅用市場においては、太陽電池の効率を上げるためにしばしば正方形に切り取ったフルスクエアセルを用いますが、モジュールの出力が上がる反面コストが高くなります。通常切り出しのセルでの高効率は、他メーカーがなかなか真似できない様です。
②今後日本では産業用に期待
本国アメリカでは、グーグル社と組んで、パネルリース事業も行っています。
日本では、ユーラスエナジーによる115MWの日本最大級メガソーラーを皮切りに、徐々にメガ級の大規模事業での採用例が増えています。
さらにサンパワーは日本において、合計1GW(1,000MW)の売電事業計画も発表しています。産業用を中心にサンパワーの名前を聞く機会がさらに増えてくるでしょう。
CSR事業としては、「One Million Lights」(無電化地域に100万個のソーラーライトを贈る)プロジェクトにも参加しています。
サンパワーのパネル一覧
型番(製品型番) 出力 効率 サイズ
住宅用「E20/250」(SPR-250NE-WHT-J) 250W 20.1% 72枚セル
住宅用「E19/245」(NB-245AB(シャープ)) 245W 19.7% 72枚セル
住宅用「E19/240」(SPR-240NE-WHT-J) 240W 19.3% 72枚セル
ハーフ「E19/125」(SPR-125NE-WHT-J) 125W 19.6% ハーフモジュール
産業用「E20/327」(SPR-E20-327-COM) 328W 20.1% 96枚セル
産業用「E19/320」(SPR-E19-320-COM) 320W 19.0% 96枚セル
サンパワー社は型番に「効率」を入れることで、パネルの性能の高さをアピールしています。効率が20%台のものを「E20」、19%台のものを「E19」としてシリーズ展開しています。
シャープでもOEM提携が始まっていますが、取り扱うのは「E19」シリーズのものです。
アメリカ本国では、このEシリーズよりもさらに高効率の「X21」シリーズという製品が販売されているようです。こちらは最大効率21.5%のものもあります。
※サンパワー社パネルの取扱窓口
住宅用:日本国内で独占OME販売している東芝は、2018年までOEM提携の独占販売契約を延長、年間100MW(約25,000戸分)のペースでのパネル供給を目指しています。
産業用:「E20」シリーズの大型パネルを扱う施工販売店が徐々に増えてきています。イシンホーム(住宅メーカー)によるSIソーラーでも、採用されています。
東芝のソーラーパネルラインナップ
①世界最高効率・Sシリーズのラインナップ
Sシリーズ製品は、いずれもサンパワーのOEM製品です。
「SPR-250NE-WHT-J」「SPR-240NE-WHT-J」「SPR-125NE-WHT-J」
「SPR-250NE-WHT-J」東芝ブランドの主力製品は高効率・高価格の「SPR-250NE-WHT-J」ですが、人気の高さから値引き率が大きい製品の一つです。もともと高価な製品ですが、コストパフォーマンスという面では決して悪くありません。
「SPR-240NE-WHT-J」は一つ前のモデルです。
「SPR-125NE-WHT-J」ハーフサイズのモジュールが加わったことでさらに可能性が広がっています。
②Vシリーズのラインナップ
「LPV-200E-BLK-J」「LPV-175V-BLK-J」「LPV-125V-BLK-J」
「LPV-83LV-BLK-J・LPV-83RV-BLK-J(コーナーモジュール)」
Vシリーズは、長方形3種と台形のコーナーモジュール左右2種の5つのパネル構成のシリーズです。屋根の鋭角部分にまであわせてきれいに配置できるのが特徴です。東芝がこのシリーズの展開を始めたのは最近ですが、海外のメーカーに製造委託しているので、シャープ・三菱・京セラなどのメーカーに比べて安価に提供できる点が強みと言えます。
「LPV-200V-BLK-J」は、廉価版として出しているモデルです。販売開始当初に比べてコストパフォーマンスを徐々に上げています。
※東芝パネルのOEM提携メーカー及び生産国
東芝パネルは全て、海外のメーカーに受注しています。
Sシリーズは、サンパワー社パネルをOEM受注しています。
Vシリーズは、海外製(2014年5月現在は台湾・今後変わる可能性あり)という事です。
東芝パネルのメリットとデメリット
☆大手としてのブランド力とマーケティング力
OEM提携先であるサンパワー社の「世界最高効率」という製品力もあり、東芝は業界では後手を踏みながらも、他にひけ劣らない躍進ぶりで大幅にシェアを伸ばしています。パネルを全て海外に受注しているからこそ、マーケティングに集中できるとも言えます。
☆日本製にこだわるなら「東芝」ブランドに惑わされない
人気の高い東芝のパネルは、性能の割には安価で購入できます。売電収益を考える人には、日本の大手ブランドのパネルがそんなに安く購入できるとなれば、選ばない手はありません。
ただ、東芝ブランドとは言え、先述の通りパネルはフィリピン製です。日本の市場は「国産の品質にこだわるか、海外生産で価格を下げるか」でメーカーの戦略が分かれている状態で、東芝の場合は完全に後者となっています。