三洋電機から受け継いだHITシリーズ進化させ続けてきたパナソニック

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パナソニックの関わり

Best quality 発電量に定評のあった三洋電機の独自太陽電池モジュール「HITシリーズ」を受け継ぐことになったパナソニック。三洋電機から1997年にデビューして以来、受賞した数々の賞がその技術力を裏付けています。
 住宅用太陽電池モジュールの中では、非常に高値なのにもかかわらず人気が絶えないのは、製品の独自性と(パナソニックという)名前の信頼性の高さが、その理由のようです。

住宅用ソーラーパネル

 パナソニックはほぼ一年周期でHITシリーズの最新モデルを発表してますが、その年の受注生産として限定販売されたもののスペックを、次年の主力モデルで引き継ぐというケースが多く見られます。

①2014年発表の新製品

品名         型番    出力 効率
HIT244α       VBHN244SJ33 244W 19.0%
HIT250α       VBHN250SJ31 250W 19.5% (受注生産)
HITハーフタイプN120α VBHN120SJ33 120W 18.1%

 受注で限定生産される「HIT250α」の効率は19.5%と、パナソニックが販売する中では最高効率のパネルとなっています。ハーフタイプは前年のスペックを引き継いでいます。

②旧ラインナップ(2012・2013年)

品名        型番    出力 効率
HIT240α       VBHN240SJ21 240W 18.7% 2013年モデル
HIT245α       VBHN245SJ21 245W 19.1% 2013年モデル(受注生産)
HITハーフタイプ120α VBHN120SJ21 120W 18.1% 2013年モデル
HIT233シリーズ    VBHN233SJ01 233W 18.2% 2012年モデル
HIT240シリーズ    VBHN240SJ01 240W 18.7% 2012年モデル(受注生産)

 2013年モデルからハーフモジュールが加わった事で、更に多くの容量を載せられるシリーズ展開になっています。

③無償の出力保証は20年

 2014年以降のモデルには、無償で出力保障20年・機器保障15年を提供しています。
 もともと日本の太陽光発電メーカーは、出力保証・機器保障とも10年の提供を標準としていましたが、海外メーカーでは、25年保障を提供するメーカーがほとんどで、国内メーカーもここ1~2年で世界標準に追随している形になっています。

産業用ソーラーパネル

 パナソニックは、産業用プロジェクトに適したHIT太陽電池のラインナップを生産しています。どれも日本の中小規模の産業用発電に多く見られる環境に最適化した作りになっているところが特徴です。

①日本の発電事業に最適

品名         型番     出力 効率
HIT240A (標準)    VBHN240SJ35A 240W 18.7%
HIT290A (大型)    VBHN290SJ27 290W 18.8%
HITダブル (両面発電) VBHN225DJ05 225W 16.0%(※表面のみに光を当てた時)
HIT120A (高強度)   VBHN120SJ08 120W 18.4%

 標準タイプ「HIT240A」は住宅用の前年モデルと同スペック、大型モデル「HIT290A」は一枚当たりが大きいパネルとなっています。いずれも受注生産となっているため、場合によっては産業用であっても住宅用汎用モデルを使用する方が、コストが抑えられる可能性もあります。
 下記2つは、ユニークな設置場所のための選択肢です。「HITダブル」は太陽光パネルの両面で発電できるようになっていて、設置角度90°での使用環境で普通のHIT太陽電池モジュールよりも30%多い発電量が得られます。「HIT120A」は高層ビル等の強風環境下等での使用を想定して、強度を増したモデルです。

②産業用多結晶パネル

品名    型番    出力 効率
多結晶255 VBMS255AJ04 255W 15.5%
多結晶240 VBMS240AJ03 240W 14.7%

 パナソニックは、産業用の廉価版として、単接合の多結晶パネルも用意しています。

パナソニックの強みと弱み

①パナソニックの「HIT太陽電池」は発電量が違う?

 シリコン単結晶モジュールは熱に弱いという弱点、逆にアモスファルシリコンは単結晶に比べて効率が劣るものの熱に強い特徴を持っています。パナソニックはそれら両方を組み合わせ、それぞれの弱点を補い合うことで、業界最高水準の発電量を実現しました。
 また太陽光の反射を低減する低反射ガラスを採用し、シリコン単結晶モジュールを凌ぐ出力を誇り、面積当たりの発電量が多いのも特徴で、狭い屋根にもより多くのシステムを載せることが可能です。
 変換効率は国内では東芝の単結晶モジュールに次いで2位ですが、夏場の暑さの中でもコンスタントに発電できるという点で、より多くの実発電量が期待できるとしています。

②国内・アメリカ・マレーシアの生産拠点での一貫生産

 パナソニックは、自社管轄工場での一貫生産で品質を保ちながらも、海外拠点へのシフトで価格の競争力を高めつつあります。
 ☆インゴットの生産:アメリカ・オレゴン
 ☆セルの生産   :島根、二色の浜(大阪府貝塚市)、マレーシア
 ☆モジュールの組立:二色の浜、マレーシア、滋賀
 パナソニックのHIT太陽電池の価格は2012年後半から約半年で6%程度値下がりしていますが、これには一番最近できたマレーシア工場における、(シリコン)ウェハーからモジュールの一貫生産開始が大きく貢献していると思われます。

③一歩先を行くスマートエネルギー関連事業

 個々の製品が単独展開されているというより、家電からエネルギーマネージメントまで総括して、次世代型の快適な暮らしを提案するというような、総合的な事業展開をしています。

☆PanaHomeが手掛けた『スマートシティ』

 神奈川県藤沢市と共同で、街全体のスマート化『Fujisawaサスティナブル・スマートタウン』プロジェクトに着手しています。600世帯からなるこの街の家屋には、太陽光発電・蓄電池・スマートHEMSを搭載し、街全体の消費エネルギーの30%を再生エネルギーで賄う等の目標を掲げます。
 中でも多くの家屋が、グループの住宅総合メーカーパナホームが手掛けた、屋根全体に高効率のパネルを搭載したモデル『CASART ECO CORDIS』を採用しているということ。30坪台の一戸建てでも10kW以上の搭載を可能にしていて、大きな屋根なら、家屋の電力を100%以上太陽光発電で作ることも可能です。

☆電力アグリゲーション事業『パナソニック・エプコエナジーサービス』

 パナソニックは、住宅で発電された電力の集約・販売を行う新会社『パナソニック・エプコエナジーサービス』を設立しました。
 この新会社を共同で立ち上げているのはエプコという企業(筆頭株主:パナソニック)で、小売り自由化の際の先進的なスマートエネルギーサービス開発を目的に、英国ケンブリッジ大学と共同研究の締結も行っています。この事業は、新電力と消費者を繋ぐような役割を持ち、電力自由化後はさらなる事業拡大が期待されます。

④パナソニックの太陽光発電はこんな方におすすめ

資料を渡す女性 価格が安い多くの中国メーカーは太陽光発電に特化したメーカーです。同様に家電も製造するメーカーは国内にもたくさんあります。
 パナソニックの事業は、家電からエネルギーまで、より総合的・ダイナミックな次元で展開されている印象で、これを企業の将来性や健全性と結びつける意見もあります。
 スマート家電も含めたHEMSの導入など、新築の住宅に全体でスマートエネルギーシステムを取り入れたい方等にはピッタリのメーカーと言えそうです。

⑤こんな方はパナソニックじゃない方がいいかも?

 パナソニックのHIT太陽電池の売りの一つは「夏の高温に強い」ということ。ですが、独自のハイブリッド構造が生かされる場面は限定的な様です。同じく高温耐性を唱えているソーラーフロンティアは、影のかかる環境でも、パネルの性能がしっかり証明されています。パネルに高温耐性を期待する方は、パナソニックよりもソーラーフロンティアがいいかもしれません。
 また高効率パネルといえばパナソニックor東芝ですが、加えて価格の安さを求めるなら、わずかですが東芝の方が安く取り扱う販売店が多いようです。